スピリチュアルと言えば、懐疑的な人は、非科学的でいかがわしい話、信じ込みやすく騙されやすい人間の妄想くらいにしかとらえられていらっしゃらないかもしれませんし、自分とは全く無縁の世界の話と思われるかもしれません。

しかし、スピリチュアル、つまり霊的な世界の話には、スピリチュアリズムという思想がありますが、これは、極めて現実的で論理的であり、矛盾撞着のない叡智であることが分かります。

スピリチュアリズムの思想を知らないために、多くの問題を作り出し、苦しまれている方が無数にいらっしゃると考えられますので、ここではスピリチュアリズムについて端的に理解できるように解説させていただこうと思います。

スピリチュアリズムはあらゆる問題を解決する可能性を秘めていますが、そのことを知るために、まずはそもそもあらゆる問題の根本的な原因は何かを考察します。

世の中の様々な問題の根本的な原因

この世の中には様々な問題が存在し、苦しまれている方が大勢いらっしゃいます。

戦争、テロ、貧困、飢餓、難民、殺人、自殺、暴行、強姦、虐待、差別、強盗、詐欺、麻薬、教育問題、いじめ、引きこもり、環境問題、カルト宗教・・・

これらの根本的な原因はどこにあるでしょうか。

例えば貧困を例にとって考えると、経済の専門家の方々の中には、景気をよくするために必要なことを様々な角度から考察し、主張される方がいらっしゃいますが、多すぎる富を求めることが良くない事であるという事を知り(無知を無くし)、多すぎる富を所有する者が、貧困にあえぐ人々のことを見て見ぬふりをして私腹を肥やそうとすることなどをやめること(自己中心的な行いをやめること)が根本的な問題の解決策であり、そのような思想が根底にない限りどのような難解な学問を駆使したところで、問題を解決することなど到底できないのではないかと思います。

現在の地上には今日の食べものに事欠く人がいる一方で、有り余るほど貯えている人がいます。もちろんこれは間違っています。余るほど持っている人は足らない人に分けてあげなくてはいけません。別に難しいことではないと思うのですが。

また、このことはその他のあらゆる問題にも当てはめることができるのではないでしょうか。

例えば、もっと身近な問題で、いじめ問題はどうでしょうか。

この場合も同様に、自分の行いによって相手が苦しんでいるということを知ること(無知をなくすこと)、相手が苦しんでいるということを理解していても、「腹が立つから」といった理由でやっている場合は、相手の迷惑よりも自分自身の個人的な感情を優先することをやめること(自己中心的な行いをやめること)が本質的な解決になるのではないでしょうか。

つまり、この世のあらゆる問題の根本的な原因は、突き詰めて考えると、法律や社会のシステムにあるのではなく、各個人の「無知」「自己中心的な行い」にあると言えるのではないかと思います。

政治的情勢や、悪魔的とまではいわないにしろ、恐ろしい科学の勝利の結果、我々は密かな恐れと、暗い予感に恐れおののいている。しかし、我々はそこから逃れる道を知らない。そして、今や問題は長く忘れさられていた人間の魂の問題であるとの結論を下している人はほとんどいないのである。

地上世界の厄介な問題、および霊界の下層界の問題のすべてが、さまざまな形での利己主義、強欲、貪欲などの私利私欲によって惹き起こされているというふうに考えればよろしい。原因はそれしかありません。

それでは、あらゆる問題の本質が理解できたところで、より具体的に、問題を解決するため、幸福な世界を実現するため、より良い人生を送るためにはどのような知識(叡智、思想、哲学)を学べばよいでしょうか。

次に、スピリチュアリズムにおいて最も信頼性が高いとされている、「シルバーバーチの霊訓」という書籍から、思想の中心となる箇所を抜粋し、解説させていただきます。

スピリチュアリズムの思想の解説

シルバーバーチは三千年前に地上生活を送った高級霊であり、シルバーバーチの霊訓はその高級霊の教えを記録したものとされています。

シルバーバーチの霊訓は世界三大霊訓の一つとされ、スピリチュアリズムにおいて最も信頼性が高く、説得力のある霊界通信の一つとされています。

つまり、霊界からの教えは世界中に説かれているのですが、その数多くの教えを比較検討した結果、シルバーバーチの霊訓は最も信頼できるという太鼓判がおされているということです。

このようなことを書いたとしても、懐疑的な方は、そうやすやすと信じる事はできないと思われると思いますので、シルバーバーチの霊訓に書かれてあることが、どれくらい矛盾のない、筋の通ったものであるかを理解していただくために、具体的に思想の中心となる部分を紹介させていただきます。

シルバーバーチの霊訓の主要な思想の解説

  • 人間はみな平等という思想がある(博愛主義)
  • 人間の一人一人が同じ全体の一部であり、人類のすべてに神の霊が流れている、その意味において万人が神のもとに平等である・・・

    世界では、異なる人種、民族、宗教などの間で、争いを生じ、時には戦争に発展することもありますが、「人間は皆平等である」という思想が根底にあれば、このような惨事は未然に防げるのではないでしょうか。
    また、現在の日本では人種、民族、宗教などによって差別されることは少なくなってきていると思いますが、このような思想がないために知らず知らずの内に多くの問題を作り出していないでしょうか。
    ちょっとした価値観の違いや一時的な感情から人を嫌ったり、相手の立場や置かれた環境などを考えずに偏見を持ったりすることは誰にでもあるのではないかと思います。
    しかし、人はみな神の子であり、同胞であるという価値観が根底にあれば恨みや争いごとなども少なくなるのではないでしょうか。


  • 自分のしたことはすべて自分に返ってくるという因果律の思想と霊魂は死後も存在するという思想がある
  • 宇宙は、変えようにも変えられない絶対的な自然法則によって支配されております。その中でも原因と結果の法則(因果律)が基本となっております。・・・あなたは今あるがままのあなたです。こうありたいと装ってみてもダメです。その行為の価値が魂を豊かにもし、貧しくもします。あなたみずから行ったことが、そういう結果を生んでいくのです。

    死によって物的身体から離れると、魂はそれまでに到達した進化の程度をスタートラインとして、新しい生活に入ります。それより高くもなっていませんし、それより低くもなっていません。自然の摂理があらゆる要素を認知しているからです。公正が行きわたるように摂理が自動的に働くのです。罰せられるのも報われるのも、すべてあなたの行為一つ一つが生み出す結果の表れです。

    「自分が人のためになるような正しい行いをすれば自分が幸せになり、自分が人の迷惑になるような間違った行いをすれば自分が不幸になる」ということになります。
    このことは経験的に多くの人が理解していることとは思いますが、その法則が完璧だということです。
    完璧かどうかは証明のしようがありませんが、それを信じたからといって何も悪いことは起こりません。
    逆に、みながこのような思想を信じれば平和な世の中になるのではないでしょうか。


  • 唯物主義の問題点と解決策が記されている
  • <問題点>

    唯物主義はその本質自体が貪欲、強欲、自分第一主義に根ざしています。同じ天体上に住んでいながら、自分以外の者への思いやりも気遣いも考えず、ひたすら自分の快楽と蓄財に励みます。敵対関係、戦争、怨恨、こうしたものを生み出すのは唯物主義です。物質がすべてである、死はすべての終わりである、だったら自分の思うままに生きて何が悪いという論法です。

    死んだら終わりだから今のうちに楽しんでおこうという考えの人はかなり多いのではないかと思いますが、そのような考え方がエスカレートした結果、現在ニュースになっているような様々な事件や問題が生じるのではないかと思います。


    <解決策>

    四海同胞、協調、奉仕、寛容、こうした精神こそ人生の基本であり、これを基礎としないかぎり真の平和はあり得ません。持てる者が持たざる者に分け与えることによって互いに奉仕しあい、睦みあい、援助しあうこと、この単純な真理は繰り返し繰り返し強調しなければなりません。

    このことは言われてみれば当たりまえのことですが、日常生活において実践できている人はなかなかいないのではないかと思います。



  • 宗教問題の解決策が記されている
  • <知識の裏付けのある信仰でなければならない>

    人生には二つの大切な要素があります。一つは知識であり、もう一つは信仰(信念)です。知識の裏付けのない信仰は”折れた葦”のようなもので、いざという時に頼りになりません。が、知識に信仰を上のせする、これが最高の組み合わせです。あなたは人生とその意義についての理解をもたらしてくれた知識はすでにお持ちです。が、それとて、これから先あなたが入手していくべき知識に比べれば、ほんのひとかけらにすぎません。そこでその不足を補うための信仰というものが必要となります。しかしそれも、あくまで事実に即した知識を根拠とした信仰です。軽々しい信仰、理不尽な信仰、知性を侮辱するような信仰ではなく、事実を根拠とした信仰、つまり、かくかくしかじかの事実がある以上はそう信じてもよいはずだという論拠をもった信仰です。

    唯物主義が問題だとしても、信仰を持つということはなかなか抵抗があるのではないでしょうか。
    信仰により心の安らぎや自信を得たり、マザー・テレサのように多くの人を苦しみから救うこともできれば、宗教戦争やテロ、カルト宗教などのように人を幸せにするどころか、不幸のどん底に突き落とすということも起こりうるからです。
    シルバーバーチの言うように、「かくかくしかじかの事実がある以上はそう信じてもよいはずだという論拠をもった信仰」であればこういうことは起こりえないはずです。(人を殺したり、全財産を巻き上げるなどして家庭を破壊しておいて、天国にいけるなどとはおかしな話ですね。)


    <一つのものを盲従しない>

    いかなる人物であろうと、いかなる書物であろうと、いかなる教会であろうと、いかなる指導者であろうと、それが地上の存在であっても霊界の存在であっても、たった一つのものに盲従してはいけない・・・

    宗教問題を考えれば、この言葉は当然のことのように思えるかもしれませんが、自分が苦しい状況に置かれているときに「うちの宗教に入れば絶対に救われるよ」と言われれば、信じてしまうものではないかと思います。
    これが教典に書き加えられるだけでどれだけの不幸を未然に防ぐことができただろうかと思います。



  • 実際にどのように生きればよいかが記されている
  • <良心の声に従う>

    自分で正しいと思うこと、この方が得だとか都合がよいとかではなく、心の奥でこうするのが本当だと確信した道を選んで、突き進むのです。・・・あなたには、宿命的に有利な条件と不利な条件とがあります。しかし、同時に、あなたならではの才能をお持ちです。それを他人のために役立てなさい、わたしからはそう申し上げるしかありません。今生きておられる世の中は、涙と苦しみと悲しみと惨めさに満ち満ちております。そうした中にあって、あなたより幸せの少ない人たちのために役立つことをなさることです。



    <知識を増やす>

    いくら善人でも無知から霊的な罪を犯すことがあり得ます。・・・ですから、知識を増やすことです。霊格を高めることです。そうすれば霊的法則の働きについて一層の理解がいき、それによって人生を規制していくことができます。

    自分では正しいことをしているつもりでも実際は間違った行いをし、知らず知らずのうちに苦しみの種を蒔いていることはよくあることですが、そのことについてもふれています。

    シルバーバーチの霊訓にはあらゆる問題の解決策が記されている

    初めに話をさせていただいたように、世の中のあらゆる問題の原因を突き詰めて考えてみると、個人の「無知」「自己中心的な行い」に行き着くのではないかと思われますが、そのほとんどがここにあげた思想を持つことにより解決するのではないでしょうか。

    もし仮に、独裁国家の権力者が、死後の世界が存在するという確信を持つようになり、自分の現世での行いによって、死後、自分の置かれる環境が決まってくると考えるようになったとしたら、「世の為人の為になるような行いをすれば、死後には幸福な環境に置かれ、人を不幸にするような行いをすれば、死後には苦しい環境に置かれる」と考えるようになったとしたら、その人の人生は一変し、国民の生活も根底から改善されるのではないでしょうか。

    そのような特別な地位にある人でなく、一般市民でも、多くの人が死後の世界に確信を持つようになり、行き過ぎた利己主義をやめて、ほんの少しでも社会に役立つようなことを実践するようになれば(例えば、日常生活において、人の迷惑になる行為をやめて、人に思いやりを持って接したり、自由になるお金の中から、できる範囲で慈善事業に寄付したりするといったことをするようになれば)、世の中の多くの問題が解消され、より幸福な世界を実現できるのではないでしょうか。

    このように、スピリチュアリズムの思想を学ぶこと、広めることは、あらゆる問題を根本的に解決し、幸福な世界を実現することに繋がるのではないかと思います。

    もし、ここに書いてあることに納得され、学ぶ価値があると思われたら、ご自身で学び、日常生活において実践されてください。

    そして、広める価値ありと思われたら、現在は、SNSやブログなど様々なツールがありますから、この情報を広めていただけたらと思います。

    それがとりもなおさず、この世の中をより良い世界にすることであり、大きな社会貢献となるのではないかと思います。

    こうして語っている私のささやかな言葉が少しでもあなた方にとって役に立つものであれば、その言葉は当然、それを知らずにいるあなた方以外の人々にも、私がこうして語っているように語り継がれて行くべきです。自分が手にした真理を次の人へ伝えてあげる、それが真理を知った者の義務です。それが摂理なのだと私は理解しております。